2020年6月14日のレッスンレポート

※当八王子(分校)のスクールは、稲木本校が掲げているコロナ対策を徹底しながら6月7日より活動を再開しております。

2020年6月15日現在
日時2020年6月14日(日)
場所富士森公園テニスコートE面
参加者セッション(i) 14:00 -15:00 4名
セッション(ii) 15:00 -16:00 4名

レッスン内容(時系列)↓↓

#1 ウォームアップ

#2 ストローク練習

#3 ボール投げのゲーム

#4 ストロークの練習

#5 ゲーム練習

#6 クロージング



※今回は前回の反省から、割とシンプルに纏めました。一番最後では、少し派生をさせて、「教師・指導者の盲目性」といったテーマにて、少しブログ風に想いを纏めておりますので、良ければそれもご覧ください。

#1ウォームアップ
ボール投げをペアで行うエクササイズから今回はスタートをしました。横投げで、かつ両手で投げる練習はテニスのストロークの動作に理に適うところがあります 参考動画。子供たち同志でやったり、親御さんにもサポートをいただきながら楽しく行いました。

#2 ストロークの練習
未就学児とお兄ちゃん達グループに分けて、難易度に配慮をしながら、球出しにてストロークの練習をしました。子供たちにとっては初めてオムニコート(砂入り人工芝)。このオムニコートは数あるサーフェスの中で最もボールが飛ばない(反発を利かせづらい)で有名なコートで、日本では最も多く存在するタイプのサーフェスです。実は、世界的に見るとこのサーフェスがここまで重宝されているのは日本のほかには無いようです。この話にこれ以上深堀すると紙幅が尽きてしまうので、例えばこの 参考URLにその後の説明を委ねますが、今回はそんなオムニコートの中でも、もっと条件が悪い中でのレッスンでした。つまり、雨上がりで湿度も高く、ボールは自然と水気を帯び、ラケットのガットも同様に見えないながらも湿気を帯び、反発を利かせることが難しくなります。それ故、目標にしている「over the net」が難しい状況でした。しかし、この半年間、Mr.K先生が発話をしている英語フレーズの中で断トツにトップに位置する「over the net」は、子供たちの潜在意識に刷り込まれており(笑)、どの生徒もそれをとにかく達成しようと頑張っているようでした。ストロークの順番を待っている生徒は、後ろでサーキットトレーニング(コーンとラダーのフットワーク)をしましたね。よく頑張りました。子供たちが入れ替わる際に、最近では、「It’s your turn, ○○!」と相手の名前を最後に置いてコミュニケーションを取るようにしております。言われた方は「Thank you.」と返しますが。コミュニケーションは決して一方通行であってはなりません。どうかこのスクールでは、誰かが発した後に、誰かが応えてあげる、そんな思いやりのある、活気ある雰囲気を醸成していきたいと考えております。

#3 ボール投げの練習
ストローク練習をかれこれ20分ほど集中を維持しながら行うことができたので、次は遊びの要素を入れようと考えました。これは一種の分散学習にあたり、それは学習効果を高めるという風に 1/26のレッスンレポート でもお伝えしたと思います。子供(まして未就学児)の集中力はそんなに長く続きません。10分続けばとても良いのではと思うくらいです。楽しく無理なくやっていきたいと考えております。今回は生徒の一人がボール投げゲームをしたいと言ったので、Team Kids vs Team Adultsでかごに何個入れられるかを競うゲームをして盛り上がりました。押さえた英語表現は下記です。また結果はTeam Kids が12球を入れ、10球を入れたTeam Adults に打ち勝ちました!

Which basket do you like? どちらのカゴが好き?
This one. こちらのカゴです
Ready Set Go. 位置についてよーいドン!
Throw only. 上投げで投げましょう。
This time toss only.今度は下投げだけです。
Almost. 惜しい!
Too long. (投げる距離が)長すぎ
Too short. (投げる距離が)短すぎ

#4 ストロークの練習
前述のゲームで心機一転できたように見受けられたので、再度ストロークの練習をすることに。但し、今度は球出しの台を一つにし、チーム全員で一つとなって、盛り上げながらやることにしました。ベースラインの真ん中にコーンを置いて、ネット越しに出されたボールに対して、そこを起点に3級打ち返すことを行いました。テニスの原則としては、常にこのベースラインの真ん中に戻るというのがあり、それを体得して欲しいという意図もあります。お兄ちゃんたちの目標は「over the net」、未就学児のボールは「just hit the ball/なんとかしてボールに食らいつく」です。それなりに盛り上がりましたね。

#5 ゲーム練習

まだ元気が残っている生徒はゲーム練習を行い、そうでない生徒はコート横で休憩・遊ぶことにしました。今回はコートを半分に仕切り、保護者の方二人に台になっていただくことで、私は今回初めてコートの横から生徒達の様子を客観的に見る時間を持つことが出来ました。振り返ってみるとこれまでの半年間そういった機会はなく、実はすごく新鮮でした。最終的には、休憩していた生徒もゲーム練習に復帰し、簡易ネットを使って3面展開でゲーム練習を回すことにしました。

#6 クロージング
今日はどんなレッスンをしたかを、子供に確認する形で一緒に振り返りました。 その後はDays of the weekに合わせて「さようなら」を言いました。

歌詞/Lyrics

Sunday lalala Monday lalala Tuesday lalala Wednesday, Thursday lalala Friday lalala Saturday that makes a week (繰り返し)

さて、ここからが、冒頭でも触れた「教師・指導者の盲目性」というテーマでのブログの開始となります。今回最後のゲーム練習の場面で、開校以来初めてコートの横から客観的に見つめる時間が持つことができ、そういった視点で捉えることに対しとても新鮮に感じました。実は、最近では親御さんにも球出しを手伝ってもらう中で、私自身球出しのタスクから離れ、生徒側に立ってより生徒目線で指導にあたることが出来てきております。そういったことから、自分が知らずの内に如何に盲目性に陥っていたかに気づかされることになりました。例えば下記のようなことです。

#1 生徒側に廻り、その子の身長になるために膝立ちをした際に、未就学児にとっていかにネットの高さ(1m程)が心理的に脅迫をするほど高いものであるかを知りました。私はその子の頭よりも高いネットに対して、軽はずみに「over the net」と鼓舞していたのではないか?なんて思いました。

#2 ワンバウンドで腰の高さでタイミング良く打つことを子供たちに要求していますが、手出しは上手くできるもののネット越しの球出しはなかなかうまく出来ないのです。今回ネットのこちら側で子供と一緒にそのネット越しの球の軌道を見た際に、指導者側の配慮と思って、スピードを押さえるために高めの放物線にて出してあげたボールの軌跡は、未就学児はおろか小学生低学年の生徒であっても竜が襲ってくるかのように映ったのかもしれません。実に、多くの生徒がこのネット越しの球出しの場合に、慌てふためくのか、自分の頭くらいの高さで日本刀を切り落とすかのようなダウンスイングになってしまうのですが、それはその恐ろしい竜を退治しようした結果とすれば冗談が過ぎますが、つまり手出しの球出しと、放物線をより意識したネット越しの球出しでは全く別物に捉えれてしまっているのだと気づきました。

#3 極めつけはレッスン後にある親御さんから送られてきた写真を見ての衝撃です。その親御さんは最近、レッスン中の生徒の様子を写真に収めてご厚意にも送ってくださるのですが、私がはっとしたのは、子供たちが実に真剣に、凛々しく、その刹那をテニスと向き合っているかを写真は嘘を付かずに物語っていました。私は視力が1.3くらいでそこまで悪くはないのですが、ネット越しで生徒と向き合っている際に、そんな表情に気づくことはなかったので本当に恥ずかしくなりました。それよりも、その生徒のフォームやボールを打った後の結果(over the netなのか、in the netなのか)に気を取られて、その子の目の輝きを軽視していたのだと恥ずかしくなりました。

こんなことから、教師・指導者は実に盲目に陥りやすい、少なくとも私は早速盲目に陥っていたことを悟ったわけです。私は現在4人の生徒しか抱えておらず、数にして一般的に少ないと言えると思いますが、それでも今回そうなってしまったのです。当スクールでは現在保護者の皆様の献身的なサポートがあり、そのお陰でこういったことに早く気付くことができたのですが、気づいた後でもみんなで工夫をして対策を打っていくことができる関係にある(と信じている)ので、このことが何よりの強みです。

話は少し派生しますが、1年ほど前にKai-Fu Lee氏(もとは台湾人)のTed Interview/Talkで「on the future of AI」 「How AI can save our humanity」 を拝聴したことがあります。この方は、元Google ChinaのCEOで、現在はベンチャーキャピタリストとして、中国の北京を拠点にIT・AI業界への発展に寄与されています。

上記のスピーチを最初に聞いた時には、AIの最先端はここまで来ているのかと驚いたものの、どうしてもこのKai-Fu Lee氏が力説されるAIが人間らしさを取り戻すことに繋がるや、リアルな教育現場でAI活用という点に対して、「いやそれは無いでしょ/難しいでしょ。」と懐疑的に感じたことを覚えております。Kai-Fu Lee氏は「on the future of AI」 の中で、学校現場にAIカメラを導入して、生徒一人一人の表情・行動・学習の進捗をモニターし、それ故、確かに指導者(教師)はいるものの、その教師は出欠を取る必要もなく、トイレに立つ生徒の心配をすることもなく、(そういったものは全てAIが管理・モニターをする)、ひたすらAI画面越しに生徒の表情やノートテークの状況、問題の回答状況をチェックすることで、よく出来ている生徒とそうでない生徒を把握し、個別に応じたサポートを施していく、またこのようなAIのお陰で、より優秀な指導者がリモート教育を通じてより多くの生徒に関与できるなどと謳っておりました。

この話を回顧してまでご紹介した理由がもうお分かりになったかと思いますが、当時穿った見方でこの非人間性のAIを捉えていた私ですが、実際に指導者となった今、たった4人の生徒の刹那の表情を捉えることができなかった自分に重ねた際に、これはもしかしたら理に適っているのではないかと感じたという訳です。これまで「AI vs 人間」という文脈でAIを考える際にどうやら私は人間目線(=上から目線)であったのだと思います。つまり、「単純作業やエクセル計算などアルゴリズムで動くような作業の場合は、わざわざ人間がやるのは面倒だからAIにやらせれば良い」なんて風に捉えていたのだと思います。でも今はKai-Fu-Lee氏が言われている「AIによって我々は人間らしさを取り戻せる」と言っているその真意が少しだけ分かる気がします。「人間は不完全で盲目になりやすい生き物です。指導者も保護者も同じです。それをAIにサポートしていただくことで新たに見えてくる“より人間らしい部分”で人間は更なる知恵を働かせていきましょう」と言われているのだと思います。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。皆さんは今回のテーマである「指導者の盲目性」や「教育現場でのAI活用」に対して如何思われますか。もし良ければ、是非コメントお待ちしております。