2020年6月28日のレッスンレポート

2020年6月30日現在
日時2020年6月28日(日)
場所長房市民センター体育館
参加者セッション(i) 15:00 -16:00 4名
セッション(ii) 16:00 -17:00 4名

レッスン内容(時系列)↓↓

#1 ウォームアップ

#2 ストローク練習

#3 ボール運びのゲーム

#4 ボレーの練習

#5 ボール投げ・サーブの練習(ゲーム感覚で)

#6 試合


#7 クロージング



#1ウォームアップ
稲城本校が掲げるコロナ対策を徹底しながら6月7日より暫定的に開校して進んでおります。開始前、休憩の都度、手を消毒することを励ましております。スクール側が用意している消毒スプレーを生徒が借りる際の英語の表現として、「(生徒)May I disinfect my hands, please?」「(Mr. K)Yes, you may.」も定着してきました。


今回も前回に続き板書をしながら、その日のScheduleを子供たちと一緒に確認しました。前回この工夫が子供たちの集中力の維持(メリハリを効かせること)に一役を買ったと感じました。効果があると考える内は、意図的に継続をしていくというのが当方の方針です。子供たち自身が、達成感と共にチェックボックスを一つずつ埋めていきました。


ウォームアップとしては、ボール投げを行いました。実際にはもう少し大きめの人形を大切に投げさせていただきました。横向きの動作でボール投げることは、ストロークの基幹動作に繋がるということでこの練習を続けておりますが、小さいボールよりも大きいものの方が実は感覚を掴みやいのです。親御さんにもサポートいただきました。

#2 ストロークの練習
未就学児とお兄ちゃん達グループに分けて、難易度に配慮をしながら、球出しにてストロークの練習をしました。未就学児に関して少しレポートさせていただきますが、前回のレポートである生徒の話を取り上げましたね。今回その生徒はなんと「over the net」を多発しました。グリップの持ち方を少し調整させていただくことをしましたが、距離感とタイミングに関して自分なりに体得をし、学習理論で有名な「プラトー現象」をその子自身が何とか乗り越えようとしている証なんです。「プラトー」とは英語でPlateau、その意味は「高原」なのですが、下記グラフのように横軸に時間、縦軸に成長度合いを取った場合に成長度合いは決して時間に比例した直線にならず、高原のようなフェーズが出現して、成長が停滞することを意味しております。

私自身、第一子が生まれて子育てをするようになって間もなく7年、このテニススクールを始めて8か月が経ちますが、子供におけるこの成長曲線(プラトー現象)は本当に存在すると感じています。大切なことはその局面で決して悲観的にならず、どのように工夫をして、子供と一緒に更なる高みを目指していくか、これに尽きるのではないでしょうか。

少し余談になりますが、今回球出しの方法論として工夫をしたことは、一人一人の待ち時間をなくすために、コーンを始点にして、最初の生徒が一球を打ち、その生徒が始点に戻る間に次の生徒が始点からスタートして同時並行的に球を打つ、をぐるぐる回りながら行うやり方にしてみました。球出しというだけでも、本当に色々なバリエーションがあります。どのバリエーションを使うかは、その状況に応じて最適なものを選ぶべきだと考えます。今回の球出し(命名:2人一組グルグル方式)は未就学児に対しては今回初めて導入しましたが、何とか形にすることが出来ました。その際、ある親御さんとMr.K先生がデモとして動き方の見本を未就学児に見せたところ、デモをする親御さんをみてその子供に値する生徒がほくそ笑んだことを私は見逃しませんでした。子供は親が頑張っている姿に物凄く励まされるということを意味していたのだと思います。次の挑戦としては、八の字グルグル方式で、二人一組でフォアハンドとバックハンドを交互に打つことを試してみようと思っています。球出しをする側としては、あの千と千尋の神隠しの「かまじー」みたいな感じになります。

出典:スタジオジブリ

いつもご厚意にもテニスボールを拾っていただいている親御様には是非無理のない範囲で、何ならば「トトロ」みたいに、偶には「ボーっ」とされてくださいね。

出典:スタジオジブリ

#3 ボール運びのゲーム
前回大変盛り上がりをみせた、ボール運びゲームを今回は少し進化させて再度行いました。私は進化をさせるということ(生徒にとっては常に新鮮で刺激を感じるようにすること)は、子供の動機付けを維持・発展させる上でとても大切だと感じております。そんなに毎回発展させることばかり考えていたら、その内指導者としてネタが尽きない(?!)なんて思われるかもしれませんが、そうは思いません。それは単に生徒よりも一回りも二回りも人生の先輩であるからなんていう大袈裟な考え方から来るのではなく、本当にちょっとした工夫(スパイス)を加えるだけで良いのです。例えるならば、豚骨ラーメンを食べる際に、今日は「麺かた」にしてみるとか、「紅ショウガ」をトッピングしようとか、終盤に「酢」を掛けてみようかな、なんていったことです。今回取り入れた「スパイス」は下記2点です。1、前回はリレー方式で前の人が戻ってきたら次の人がスタートするといったルールでしたが、今回は前の人がボールを箱にいれた瞬間に次の人がスタートをする。2、帰り道はただ単に走って戻ってくるのではなく、ラダートレー二ングをしながら戻ってくる。

結果は一目瞭然で子供チームの勝利。英語表現としては、「Team Kids is more and Team Adults is less」を押さえました。日本語にすると子供チームは(ボールの量が)多い、大人チームは(ボールの量が)少ない、です。

#4 ボレーの練習
私のレッスンに関する基本的な考え方は、中長期でそういったものを計画的に設計し(それは一般的にカリキュラムと言われます)、それに向かって毎回の具体的に落とし込んだレッスンプランを以て、日々前進をしていくものと考えます。6月のカリキュラムとして、ボレー技術の習得を計画していましたので、それを行いました。

今年1月にボレーの練習を初めて行った際に、とても苦戦をしたことを覚えていましたが、今では保護者の方に球出しもお願いできる運営体制になっているので、私は生徒側に周り、特に未就学のサポートに徹することができました。そもそもボレーとは実に、テニス特有の動作で、日常生活ではおろか、他のラケット競技の中でも、なかなか出てこない動作だと考えております。従って、ストロークは割と早く身に付く生徒でも、ボレーにはどうにも慣れない、なんて状況によく出くわします。筋力的にもそこを意識して鍛えていないと、なんとも力が入りづらく、未就学児には最大の難易度に値すると言って過言ではないでしょう。でも敢えて、チョップグリップ(正式にはコンチネンタルグリップ)で握り、フォア側を掌で、バック側は手の甲で打つ感覚を少しずつ醸成していってもらいたいと願っています。最後に現在のテニスプレーヤーで最もボレーが上手いとされているスイスのロジャー・フェデラー選手のボレーの写真を掲載します。この動作が如何にテニス特有の身体の使い方をしているか、見るだけで分かりますよね。むしろ、どういった身体の使い方をしているか、はてな(?)になりますよね!!

出典:gettyimages.co.jp

#5 ボール投げ・サーブの練習(ゲーム感覚で)

ゲーム感覚にて、未就学児はボール投げを、お兄ちゃんたちはサーブを、ネット越しの斜めのBOXに入れる練習を行いました。テニスというスポーツを興味深くさせている要因の一つにこの斜め、つまり「cross」があります。これについては当レポートでは深入りをしませんが、一般的に「cross」を戦略的に取り入れることで、相手をコート外に追い出し、空いているスペースにストレート(最短距離)にてエースを狙う戦略を王道とします。最近ではフィジカル・フットワークを得意としている選手も増えていることから、そういった選手を出し抜くために、敢えてこの王道の裏をかいて、再度同じクロス方向にてエースを狙うなどの戦略もあり、スペインのナダル選手はそれが特に得意ですよね。

#6 試合
未就学児とお兄ちゃん達を別々に分けて、2面展開でたっぷり試合の練習をしました。4ポイント先取でテニスのルールに則って行います。お兄ちゃんたちは後半、応用として、初めてトップスピンの技術の紹介をしました。トップスピンは打点を間違えて打つと肘を痛めやすく、グリップも少し厚めに握り直す必要があるので、焦らずその子の特性を見ながら、丁寧に導入していこうと考えております。

#7 クロージング
今日はどんなレッスンをしたかを、子供に確認する形で一緒に振り返りました。 その後はDays of the weekに合わせて「さようなら」を言いました。

歌詞/Lyrics

Sunday lalala Monday lalala Tuesday lalala Wednesday, Thursday lalala Friday lalala Saturday that makes a week (繰り返し)

<おまけ~カタカナ英語から考えるフォニックス~>
「フォニックス」について、当スクールの親御さんだけでなく、それ以外の方からも色々とご質問を受けるようになってきました。その理由として、我々親世代が20年前に中学生や高校生だった頃は、この「フォニックス」の「フォ」の字も耳にしなかったのが、何故か今の時代とてもブーム(流行り)になっているからで、かつ、それが何たるものなのかよく掴めていないからだと思います。フォニックスを端的に言うと、「発音」と「文字(つづり)」を結びつけるためのルール、といった具合で理解すれば良いと思いますが、このように言われても、よくわからないのではと存じます。

というのも、日本語でいう「あ」の発音は「あ」しかなくシンプルでそこにルールや法則などを必要としないのが日本語です。これが英語になると話は変わってきて、例えば「A/a」という文字の場合に、その発音は、つづりの中で前後の影響を受けて変化します。「apple」の「a」は/æ/と発音される、「take」の「a」は/eɪ/と発音される、「father」の「a」は/ɑː/と発音される、といった具合です。そこで行着く考え方としては、では全ての単語で辞書を引いてそれぞれの発音記号を完全に覚えて、完全に覚えるだけでなく、それぞれの正しい発音の仕方を習得すれば良い、ということになるのですが、確かにそうやっていっても良いのでしょうが、それは骨が折れます。実はフォニックスには一部の例外の除いて、それなりに規則正しいルール・法則があります。従い、そういったことを踏まえて、この「フォニックス」を学んでいけば良いと考えます。

つまりは、再び「A/a」という文字を例に取ると、アクセントが置かれる際には/æ/と発音されることが多いです。「take/bake/make」のように最後にeで終わる動詞の際には、/eɪ/と発音されることが多いです。…みたいな感じです。でもこの説明でもやはり「フォニックスって何なんだろう…。」と思われる親御さんもいるのではと存じます。「A/a」を覚えても、さらにまだ25個のアルファベットが残っていて、それを一つずつ理解していくのは、「少ししんどい」というお気持ち大変察します。体系的に全てフォニックスを理解しようとすると、例えばAtsueigoさんの参考記事 くらいを学ばなければいけなくなり、これは英語有識者としてやっていこうと決意をした人でなければ、かなりしんどいはずです。

そこで最近私が考えているのは、私たちが慣れ親しんでいる「カタカナ英語」からフォニックス的な思考で、正しい発音を予想していこうというアプローチです。そして最近これがそれなりに妥当に出来るようになってきましたので、私は当スクールに通われる生徒や親御さんに少しずつこのアプローチをお伝えしていこうと考えている今日この頃です。

例えば、上記で「プラトー現象」がありましたね。これはきっと大元に英語があって、少し違った正規の発音があって、日本が輸入をする際にカタカナで当て字をして「プラトー」になった訳なんです。この「プラトー」から、逆説的発想で、どのようなスペリングで、どのような発音をされているかを考えていこうというのが今回の趣旨です。それなりに英語のフォニックス構造がわかってきた今となっては、私としては、きっと「Plate」があるから、原文の発音は「プラ」ではなく「プレェィ」に近いのではといった推測や、「Toe」があるから、「トー」ではなく「トォゥ」に近いのではといった推測を効かせることができます。実際は「Plateau」と綴り、発音としては、/plæˈtoʊ/となって、敢えてカタカナにするなれば「プェラトォゥ」みたいになるのですが、限られた既知の単語の正しい発音の理解をもとに推測を効かせていくことができるのです。

もう一つ例に取ってみます。今回久しぶりに「ボレー」を練習しました。この「ボレー」という響きに対し、まず「日本語のカタカナ英語っぽいよね」というセンス・経験値を持つことが大切なのですが、それが備わっている前提として、これを英語でスペリングした際にどのような綴りになっているかを想像するわけです。今の私の到達しているレベルでは、英語は「エ」の音が「ェー」のように「長音符」となって終わる単語がほとんどないと知っているので、きっとこれは「ボレェィ」や、「ボリィー」のどちらかが、カタカナ英語で当て字にされる際に「ボレー」となったのだと推測をすることができます。ちなみに、余談ですが、フランス語は「ェー」のように終わる単語が沢山あります。「aller」(=行く)とか、「Bonne soirée」(=こんばんは)

私がそのように考えるプロセスを、もう少し場合分けして深堀してみます。まず「ボ」を作る音は、「B/b」か「V/v」しかないので、どちらなのかなと考えます。この答えは特に法則性があるわけでなく、一番最初にその英単語を定義した誰かさんが「B/b」を当てたからそうなった、とか、「V/v」を当てたからそうなった、くらいの感じでしかないのですが、もし辞書やインターネットで調べることが出来なかった場合で、その単語を発しないといけない状況になれば、ひとまず「B/b」の発音で「ボレー」と言ってみて、相手に伝わらなかったら、再度「V/v」の発音で「ボレー」と言うことで解決する、実は問題として深刻度が浅い類のものです。問題は「レー」です。これがどのような綴りになっているか、カタカナ英語(この場合はローマ字表記も同値)に慣れている私達日本人には想像に難いはずです。ローマ字表記で「ボレー」をシンプルに表現しようとすると、「Vore」或いは「Vole」になりますよね。でも、これをフォニックス的に発音すると、前者は「ヴォァㇽ」、後者は「ヴォレ/ヴォル」になってしまい、「長音符」が表現できないことから違うと判断します。

では次のステップとして、きっと「ボレー」は「ボレェイ」から来ているのだろうという発想のもと、綴りを考えていくわけです。そういえば、「A/a」は末尾が「e」で終わる「take」のような場合に、/eɪ/(=ェイ)と発音されるから、きっとこの論理で「A/a」を当てはめればよく、スペルは例えば、「Vora」とか、「Vola」になるのではと仮説を立てます。でもこんな単語見たことないし、後ろに「e」を付けてみて、「Vorae」や「Volae」にしたところで、違和感は変わらず残っております。そういえば、「ray」「lay」等で「レェイ」と発音するので、「Voray」「Volay」としてみたとき、これなら英語として有りそうだと考えて、発音をして伝わるか試してみます。ここで伝わればミッションクリアで、実際に正しいスペルがわからなかったとしても、口語的にはひとまず「Okay」となります。ただ、今回のケースでは、大元の発音は「ボレェイ」ではない発音の仕方であるので、たいくら「Voray」「Volay」と正しく発音をしてみても、ラケットを持ってその動作をしながら言わない限り伝わらないと思います。

ではきっと大元は「ボル―」だったり、「ボリィー」だったりするのではという発想になり、「ルー」となる場合は、「Kangaroo」があるので「roo」を使おうと思い「Voroo」に行着きます。一方、「リィー」となる場合は、「Alley」「Really」「Coffee」等があるのでそれを使おうと思って、「Volley/Volly/Volee」とかになるわけです。正しい回答としては「Volley」となるのですが、フォニックス的には実際に「Volly/Volee」としても、或い新出になりますが「lea」と来ても「リィー」と発音するので「Volea」であっても、発音の仕方としては同じで、ここまで来ると一番最初にその英単語を定義した誰かさんの気分と言ってもいいレベルの話になります(多分 笑)。実はここが凄く大切なポイントで、言語学的に正しいと定義されたスペルがわかっていなくても、「Volley/Volly/Volee/Volea」にまで行着くことができれば、意味が通じるということになります。

今回はいきなり「Plateau」「Volley」という難しい単語を紹介する形で説明してしまったことから、少し難しくなってしまいましたが、結論として、それなりに沢山の単語をその綴りを意識しながら、正しい発音で習得していくプロセスを経ていくと、ゆくゆくはそれらが推測を効かせる際のベースになり、カタカナ英語から逆転の発想でスペルの具合が予想できるようになり、逆説的ではありますが、フォニックスの呪縛から離れることができる、と私は信じています。皆様のご意見是非お聞かせください。

今回はこれで以上となります。
Mr.Kより